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飛行機、原発、自動車…「事故がなくならない理由」は? 安全対策に必要なこととは?

事故がなくならない理由(わけ): 安全対策の落とし穴 (PHP新書)

事故がなくならない理由(わけ): 安全対策の落とし穴 (PHP新書)

ちょうど昨日(現地2013年7月6日)、サンフランシスコ空港でアシアナ航空による事故が起きた。

今後、原因究明が進み、事故再発防止の対策がとられるであろう。

しかし、こうした事故は初めてではない。

過去にも発生しており、そのたびにさまざまな対策、安全装置の開発、訓練などが行われてきたはずだ。

それでも事故はなくならない。

 

なぜか。

 

その疑問に答えてくれるのが本書だ。

安全装置や訓練が思ったほどの効果を生まない理由、原因、人間の心理、事故が起きるわけ、効果的な対策のあり方、リスクマネージメントまでが順序立てて、論理的に語られている。

実際にリスクマネージメントに関わっている人はもとより、個人が仕事・生活上の事故やミスを避けるためのヒントも与えてくれる。

 

本書は次のような指摘から始まる。

 

そもそも安全装置や訓練の効果が薄い理由は人間がリスクの低下に対して行動を変化させてしまうから。

どれほどシステムを向上させても、人間の心理にスポットライトを当てないと事故を減らすことはできない。

 

そして、次にようにまとめられる。

誇りや希望を持てる社会を持つことが事故を減らすことにつながる、と。

 

これだけ書くと飛躍しているようだが、読んでみると納得できるのだ。

 

内容が盛りだくさん過ぎる感もあるが、ぜひ交通事故を減らすためにも、ぜひ読んでほしい一冊。

 

構成

第1章 安全装置が裏目に出るとき
車の安全装置や、山岳用のビーコンなどを例に技術的な安全装置が事故低減に必ずしもつながらないことを指摘。

第2章 失敗は訓練では防げない
自動車の訓練などから安全訓練や操作技術向上が事故低減につながらないことを指摘。

第3章 リスク・ホメオスタシス理論
人はそれぞれベネフィットに対して、ある程度のリスク水準を受け入れており、安全対策によってリスクが減る(ベネフィットが向上する)ともとのリスク水準に引き上げようとする。

第4章 なぜ人はリスクを求めるのか
効用を最大化させる心理と、リスクそのものが持つ快感。

第5章 なぜ事故は起きるのか
リスクが織り込まれた行動にエラーが加わる。

第6章 リスク認知とリスク判断
パニックは簡単には発生しない。むしろリスクを過小視して無視してしまう傾向がある。
リスクの判断は、利益に注目するか、損失に注目するかで変化する。
集団のときは極端な判断になりがちである。

第7章 リスク・コミュニケーション
メリット・デメリットの両面を伝えたほうがリスクの送り手の信頼性が増す。
また自分と同じ価値を共有していると感じることから信頼が生まれる。

第8章 リスク行動の個人差
個人差に着目する安全対策は重視すべきではない。

第9章 リスクと共存する

誇りや希望を持てる社会を持つことが事故を減らすことにつながる。

 

事故がなくならない理由(わけ): 安全対策の落とし穴 (PHP新書)

事故がなくならない理由(わけ): 安全対策の落とし穴 (PHP新書)